3月・4月 活動報告

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春の2か月間、Nienteでは「家族の支援」「居場所づくり」「地域との連携」の3つの軸で活動を進めました。

家族会では対話と気づきを大切にしつつ、ひきこもり当事者の居場所ではパンケーキを囲みながら今後の活動について話し合いました。

また、春日市社会福祉協議会との打ち合わせを通じて、ひきこもり支援ハンドブックの活用に向けて一歩踏み出すこともできました。

ここでは、3月と4月に取り組んだ活動をふり返ります。

親子の関係を見つめ直す時間 

3月・4月に開催した家族会では、山口県で受講した「SDSひきこもり支援者養成講座」の学びをもとに、参加者の皆さんとともに、家族としての関わり方を見つめ直す時間を持ちました。

内容は「対人関係コミュニケーション分析シート」というワークシートを使いながら、親子のやりとりの中で知らず知らずのうちに生まれていた“すれ違い”を見つけ、どうすれば“お互いにとってやさしい関係”に変えていけるかを一緒に考えました。

特に大切にしたのは、このシートを「本人を動かすためのテクニック」として使わないこと。

「こう言えば就労につながるかも」という発想ではなく、“本人の気持ちを想像するためのツール”として扱いました。

「そんなふうに思っていたのかもしれない」

「しっかり生きたいのかもしれない」

そんな気づきが生まれ、参加された方々にとっても、スタッフにとっても、気づきの多い時間となりました。

焼いて、食べて、語り合う 

ひきこもり当事者の方々に向けた居場所の新たな活動として、3月から「パンケーキ作り」を始めました。

初回は、シンプルなパンケーキにそれぞれ好きなトッピングを添えて。

チョコ、バナナ、ホイップクリーム…「それ美味しそう!」「この組み合わせいいかも」と、

自然に会話が広がり、初めての参加でも居心地のよい空気が流れていました。

4月はさらに進化して、旬のいちごをたっぷり使った“ふわふわパンケーキ会”を開催。

「2枚目いっちゃおうかな」「焼いてみたい」といった声が飛び交い、温かな時間が流れました。

会のなかでは「今度はたこ焼きをやってみたい」「具材を持ってきてもいいですか?」という声も生まれました。そして6月にはバスハイクの開催を予定しています。

“何かをしなければならない場所”ではなく、

“ただそこにいてもいい場所”“自然と何かをしてみたくなる場所”を、これから少しずつ育てていきます。

支援の輪を広げるために ― 春日市社協との打ち合わせ

3月・4月は、地域の支援を広げていくための打ち合わせも行いました。

厚生労働省が発行した「ひきこもり支援ハンドブック」を、春日市でどのように活用できるかをテーマに、春日市社会福祉協議会の職員の方々と意見を交わしました。

このハンドブックは、制度や支援方法を解説するだけでなく、実際のケースを紹介しながら、当事者の生き方や、支援の根底にある「対話の姿勢」を大切にしている冊子です。

打ち合わせでは、

・地域におけるひきこもりの“見えにくさ”

・支援のつながりをどうつくるか

・当事者の声を支援現場にどう届けていくか

など、具体的な課題と可能性について話し合いました。

“しくみ”と“こころ”の両方を大切にした支援体制を、これからも地域の皆さんと共につくっていきます。

ひきこもり支援者ハンドブック(厚生労働省)

おわりに

ひきこもりの経験は、本人にとっても家族にとっても、言葉にならないものをたくさん抱える時間です。それでも、誰かと少しずつ気持ちを分かち合うことで、見える景色が変わっていくこともあります。

Nienteはこれからも、

「正解」よりも「対話」、

「変えること」よりも「受けとめること」を大切に、活動を続けていきます。

これからも、私たちの歩みをそっと見守っていただけたら嬉しいです。