Niente 3カ年活動レビュー(2023–2025)

Nienteは2023年4月に設立されました。団体設立時にはビジョンとミッションをもとに 3カ年の活動計画を立て、活動を開始しました。
今回の活動レビューでは、この3年間を振り返り
• 何を目指して活動してきたのか
• 実際にどのような活動を行ってきたのか
• 何がうまくいき、何が課題だったのか
を整理し、次の3年間の活動につなげていくことを目的としています。
これは団体のPRを目的としたものではなく、活動を振り返り、より良い活動につなげていくための記録として公開しています。
Nienteでは、情熱や思いだけで活動を続けるのではなく
• 計画
• 実行
• 振り返り
• 改善
というサイクルを大切にしています。
Nienteでは、就労といった分かりやすい成果だけに固執することはありませんが、本人や家族の苦しさを軽減するという点については、強い成果意識を持って活動に取り組んでいます。
これはひきこもりを経験し、当事者や家族の苦しさを深く理解しているからです。
3年間で目指してきたこと
団体設立時、Nienteでは次の3つを中心に活動を進めていくことを目標としていました。
居場所づくり:
ひきこもり当事者が安心して過ごすことができる居場所を地域の中に作ること。
家族支援:
家族が孤立しないための対話の場や学びの機会を作ること。
地域との関係づくり:
行政や支援機関とつながりながら、地域の中で孤立しない環境を作ること。
また団体設立時には、行政や他団体との関係についても価値観を明確にしました。
活動の中で課題や不満を感じることがあったとしても、特定の団体や行政を批判する形で発信するのではなく、対話と提案を通して地域の支援環境をより良くしていくことを大切にしています。

活動のタイムライン
| 年 | 主な出来事 |
| 2023年 | 団体設立(4月) 居場所活動開始 居場所を月3回に拡大(料理部、読書部) 福岡市思春期ひきこもり地域支援センターワンドにて園芸活動の協働 第1回福岡ひきフェス開催 |
| 2024年 | 春日市社会福祉協議会で活動開始 家族サポートの会の開催 ひきこもり女子会の開催 福岡市若者総合相談センターユースサポートhubにてカフェイベントの実施 八女市ひきこもり支援サポーター養成講座講師 第2回福岡ひきフェス開催 |
| 2025年 | NPO法人ふらっとコミュニティ支援者養成講座受講 春日市第5次地域福祉計画委員に参画 講演活動増加 八女市ひきこもり支援サポーター養成講座講師 第3回福岡ひきフェス開催 |
活動実績

居場所活動
居場所活動は団体設立の2023年4月から開始しました。当初は月1回の開催からスタートし、2024年4月からは月3回に拡大しています。
2026年までの累計開催数は84回となりました。
団体設立当初は認知度がほとんどなく、参加者がいない時期もありましたが、活動を続けてきたことが現在の活動につながっています。

家族サポートの会
2024年11月から、春日市社会福祉協議会を会場として家族会を開始しました。開催回数は17回となっています。
家族サポートの会では、春日市役所の保健師や春日市社会福祉協議会の職員にも同席していただき、当事者や家族の生の声を関係機関と共有できる場にもなっています。
また、生活支援や福祉サービスに関する相談などについても、社会福祉協議会と連携しながら必要な支援につなげられるよう、相談やサポートができる体制を整えています。
講演・社会発信
自治体、社会福祉協議会、相談機関、家族会などから依頼をいただき講演・研修は23回登壇しています。

また福岡ひきフェスを3年連続開催し、ひきこもりについて理解を広げる活動を行ってきました。


ネットワーク形成の背景
団体設立当初の活動拠点は、福岡市NPO・ボランティア交流センター「あすみん」でした。ここでは福岡市の”市民公益活動推進課”が市民活動を支援しており、団体運営や活動の相談を通して多くの機関とのつながりが生まれました。
また現在の活動拠点は春日市にあります。
Nienteは 春日市ボランティアセンターに団体登録を行い、春日市社会福祉協議会のサポートを受けながら家族会や居場所活動を行っています。

こうした環境の中で
- 福岡県ひきこもり地域支援センター
- 福岡市若者総合相談センター(ユースサポートhub)
- 福岡市思春期ひきこもり地域支援センターワンド
- 春日市社会福祉協議会
などとの関係が少しずつ生まれてきました。
3年間の振り返り
良かった点
活動を継続できたこと
団体設立当初は認知度が低く、居場所や家族会を開催しても参加者がいない時期がありました。それでも活動を続けてきたことが、現在の活動につながっていると感じています。
対立ではなく対話を重視したこと
活動を続ける中で課題や不満を感じることもありましたが、特定の団体や行政を批判する形で発信することは避け、対話を重視してきました。
その姿勢が地域の支援機関との信頼関係につながったと感じています。2025年には春日市の福祉計画委員に参画し、ひきこもり経験や家族会などの現場の声を共有しました。
地域ネットワークが形成されたこと
活動を続ける中で、少しずつ支援機関との関係が生まれてきました。講演や活動報告の共有などを通して、現在の地域ネットワークが形成されています。
当事者団体としての立場を保ったこと
活動を続ける中で専門的な知識を学ぶ機会も増えましたが、Nienteではあくまで当事者としての立場を大切にしてきました。
支援する側とされる側という関係ではなく、同じ経験を持つ一人の人間として関わることを大切にしています。
支援を体系的に学び、活動に活かせたこと
当初は、自身のひきこもり経験や体験談を伝えることが活動の中心でした。しかし活動を続ける中で、それだけでは当事者や家族の抱える課題に十分に応えることが難しいと感じる場面もありました。
そこで、支援について体系的に学ぶため、NPO法人ふらっとコミュニティが実施する支援者養成講座を受講しました。
講座では、いわゆる「山根モデル」と呼ばれる支援の考え方を学びました。これは、相談から家族支援、社会参加までを地域の中で一貫して支えていくことを重視する支援の考え方で、特に治療主体の支援ではなく、”家族心理教室”を軸とした家族支援や関係性の回復を大切にする点に特徴があります。
現在Nienteでは、この考え方を規範としながら、居場所や家族会の活動の中で当事者や家族の状況に応じた関わり方を実践しています。
さらに、トラウマインフォームドケアやオープンダイアログに関する講座も受講し、本質的な支援を実践できるよう学びを続けています。
課題
支援プロセスの整理
この3年間で、当事者団体としての活動は一定の形で継続することができました。しかし、現在の活動は、まだ地域全体で共有できる 支援モデルにはなっていません。
ひきこもり支援は
- 行政
- 福祉
- 医療
- 教育
- 地域
など様々な人が関わることで初めて環境が整います。
次の3年間では、地域の関係機関と協力しながら支援プロセスを構築していくことが課題です。
これからの3年間(2026–2028)

居場所と家族会を継続する
Nienteの活動の中心は、これからも変わらず居場所と家族会です。
相談に来てくれた人を見捨てたり、たらい回しにしたりすることなく、まず受け止めることを大切にしています。
相談から社会参加までを支える
これからは、相談、気力の回復、本人に合った生き方の模索など、当事者のプロセスに寄り添いながら関わっていきます。関係者と協力しながら、生活圏で完結できる一貫した支援プロセスを目指します。
地域連携を深める
これまで関係を築いてきた支援機関と連携しながら、地域の中で支援の輪を広げていきます。
地域の支援力・受援力強化
支援のプロセスや地域連携の蓄積を記録し、信頼できるパートナーと共有していきます。具体的には春日市を中心に“ひきこもり支援ハンドブック”の理解促進を行い、地域の初期対応力を上げていきます。
ひきこもり支援ハンドブック〜寄り添うための羅針盤〜(出典:厚生労働省)
まとめ
これまでの3年間の活動は
居場所づくり → 信頼形成 → 地域ネットワーク
という形で進んできました。
次の3年間では、この経験を活かしながら、地域の中でひきこもり支援の環境をより良くしていくことに取り組んでいきたいと考えています。


