第2回「訳があって外に出れない人の居場所」の活動報告

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ひきこもり当事者会「Niente」は、「ひきこもり当事者」という呼び方を「訳があって外に出れない人」と呼ぶようにしています。今回は伝わりやすさを優先し、あえて「ひきこもり当事者」という呼び方を使用しています。

私たちは、「ひきこもり当事者自身で幸せな生き方をデザインする」をミッションに、ひきこもり当事者のための居場所づくり、ひきこもり予防活動、啓蒙活動を行っています。

今回は、ひきこもり当事者会の第2回目の開催報告をお届けします。私たちの会は、社会的なプレッシャーから離れ、一人ひとりが自分自身を理解し、穏やかで充実した生活を築くためのプラットフォームを提供することを目指しています。これは、ひきこもり当事者が社会と自分自身との関わり方を模索し、自己肯定感を育む大切な機会となります。

活動内容と結果

初めての集まりにもかかわらず、テーマトークの時間では話が尽きることなく、あっという間の1時間半が経過しました。初めは緊張していた参加者たちも、コーヒーを飲みながら自己紹介をし、互いの話を聞き、時間が経つにつれて徐々にリラックスしていきました。これらの瞬間が、私たちが「ひきこもりの居場所づくり」を目指す理由であり、その価値を再確認させてくれました。

活動内容
  • 挽きたてのコーヒーでおもてなし
  • 会のルールの説明
  • 自己紹介の時間
  • テーマに基づいたフリートーク
  • 次回の告知
結果
  • 参加者数の増加(前回0人)
  • 参加経路の多くがnoteから
  • ひきこもりと言われなければ普通の青年たちにしか見えない
  • 交流中は、相手の話す時間を気にかけるなど、会のルールを遵守し、他者を尊重する態度が見られた

結果に至った要因

上記の結果が得られた要因を、以下のように振り返りました。

参加者数の増加

Twitterやnoteに掲載した告知記事が効果的だったように感じます。記事には、私たちのミッションと活動内容をわかりやすく説明し、読者が嫌な気持ちにならないような言葉を選んでいました。同時に、生活が夜型になっている方が多いことを考慮し、情報を発信する時間を18:00以降に設定し、より多くの方の目に触れるよう工夫しました。

また、ホームページを見てくださっている方も多く、ひきこもりの人は自己理解を深めようと情報収集していることが理解できました。

ノートからの流入

特にnoteでの活動報告や意義の共有が効果的であったように感じます。noteは主にNienteの活動報告を行なっています。noteを通じて、Nienteの価値観や活動を発信したことで、参加への心理的抵抗を下げる効果があったように思えます。

参加者の様子や振る舞い

会のルール説明や自己紹介などのプロセスを通じて、参加者は互いに安心感を持ち、お互いの存在を認めることができたように感じます。もちろん、今回の参加者がホスピタリティに溢れる方々だったことも大きな要因です。

今回の居場所作りで最も意識したことが、「他者を尊重する態度を、いかにして生み出し維持するか」でした。そのために、私たちのミッションを明確に示すことに時間を割いてきました。今後も、Nienteは倫理観と品格、冷静な視点を大切にしながら活動を広げていきたいと思います。

新たな課題と対策

前回の「参加者0人」という課題はクリアしましたが、新たな課題も抽出されました。

広報活動の継続と強化

今回の会には4人の参加者が集まりましたが、それでもまだ多くのひきこもり当事者が存在し、彼らにアクセスするための広報活動が十分ではないと感じています。

対策地元のコミュニティと連携を強化し、さらにSNSを活用してNienteの活動を広く知らせます。ニュースレターやブログも定期的に更新し、広報活動を継続します。具体的には福岡県中部(福岡市南区、春日市、那珂川市)の生活圏に近のコミュニティとの連携を強化していきます。

傾聴と共感に基づいた継続活動とスキルアップ

参加者たちは自身の経験を共有し、理解されることを求めていたように感じました。しかし、傾聴と共感を専門的に行うスキルが、私個人として不足していたと感じました。

対策:傾聴と共感のスキルアップのため、「メンタルヘルス・ファーストエイド」の学び直しを行い能力を向上させます。「メンタルヘルス・ファーストエイド」は九州大学の「ひきこもり研究ラボ」を主催する加藤隆弘先生が推奨する、こころの応急処置の手法です。

ひきこもり研究ラボ@九州大学
九州大学ひきこもり研究ラボ 公式サイト 室長:加藤隆弘
定員管理と開催頻度の調整

今回の5人の参加人数が適切であったと感じました。しかし、さらに多くの人々が参加を希望することを想定し、適切な定員管理と開催頻度の見直しが必要と感じました。

対策:参加者が緊張せず、十分に話せる時間を確保するための少数定員制を維持し、より多くの人々が参加できるように会の開催頻度も見直します。

オンライン開催の準備

リアル会場の準備とともに、オンラインでの参加を希望する人々への対応も必要に感じています。しかし、これにはさらなる準備とリソースが必要です。秋〜冬にかけて試験運用ができるよう準備を進めて参ります。

対策:オンラインとオフラインの両方で開催できるように、インフラの整備と自己学習を進めます。

まとめ

私たちの居場所が、皆さんにとってあたたかい交流の場となったことが最大の収穫でした。そして全ての参加者が、参加目的として「交流」を選んでいたことも大きな発見となりました。

ある参加者は、帰り際に「また参加したい」という声をいただくことができました。4人の参加者とはいえ、ひきこもりの人々は自分自身に合う形の交流を求めていると裏付けられた気がします。

彼らは普通に暮らす人たちと同じように感情があり、夢があり、趣味があり、目標があります。そして、幸せに生きていくことを諦めていないと確信しました。その瞬間、私たちは自分たちが目指す「幸せな生き方のデザイン」に少しでも近づけたことを実感しました。

しかし、それは私たちのスタートラインにすぎません。参加者の皆さんからいただいた貴重なフィードバックから見えてきた課題については、次回の居場所活動までに改善を重ねてまいります。

これからも、全ての参加者が自分自身を表現し、互いに学び合い、そして一緒に前進できる場を提供していくことを誓います。これからも、「Niente」の活動をよろしくお願いいたします。