2026年4月活動報告|少人数だからこそ深い対話と学びが生まれました

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Nienteは、福岡県春日市を中心に、ひきこもり状態にある方やそのご家族に向けた家族会と居場所を継続開催しています。

2026年4月も、家族会と居場所を実施しました。今回はどちらも少人数での開催となりましたが、その分、一人ひとりの話を丁寧に聞くことができ、深い対話と気づきの多い時間となりました。

特に家族会では、家族心理教室とオープンダイアログを組み合わせながら、家族同士の経験を通して学び合う時間を持つことができました。支援者が伝えると「正論」や「指摘」として受け取られやすい内容でも、同じ立場の家族の言葉として語られることで、深く共感される場面がありました。

また、居場所では少人数だったからこそ、本人の思いや支援ニーズをより具体的に聞くことができ、今後のオーダーメイド型のひきこもり支援につながる手ごたえも感じました。

今回は、春日市で開催した家族会と居場所の様子を報告します。

今月の活動概要

2026年4月も、春日市社会福祉協議会にて、ひきこもり家族会と居場所を開催しました。

家族会には家族3名の参加があり、新規参加が1名、継続参加が3名でした。あわせて、春日市役所職員1名、福岡県社会福祉協議会の職員1名、多団体で支援活動に関わる方1名が見学に来られました。見学された支援者の方は、ひきこもり経験を経て現在支援活動をされている方でした。

家族会では、ふらっとコミュニティの家族心理教室の内容を土台にしながら、オープンダイアログを取り入れた家族支援を行いました。

居場所については、女子会1名、男子会1名の参加でした。人数としては少人数でしたが、その分、落ち着いた雰囲気の中でじっくり対話することができました。

ひきこもり家族会の様子

少人数の家族会だからこそ、一人ひとりの話を丁寧に聞くことができました

今回の家族会は少人数での開催でしたが、その分、一人ひとりの話をしっかり聞くことができました。

ひきこもりの家族支援では、ご家族が日々大きな不安や迷いを抱えています。少人数の家族会だったことで、それぞれの思いや経験を丁寧に受け止めながら、安心して話せる時間をつくることができました。

また、実際の事例を通して他の参加者も学びを得る「集合学習」の効果が高く、個別の悩みがその場全体の気づきにつながる時間になったと感じています。

家族心理教室では、親の関わり方を対人関係分析シートで振り返りました

今回の家族心理教室では、親が子どもにどのように接しているかを、対人関係分析シートを用いて振り返ってもらいました。

自分の言動が、その場ではどのようなメリットを生んでいるのか、反対に長い目で見るとどのようなデメリットにつながっているのかを整理し、参加者同士で共有しました。

たとえば、親としては不安からすぐに声をかけたり、答えを示したり、問題を解決しようと動いてしまうことがあります。こうした関わりは、短期的には安心感や「何かできた」という感覚につながることがあります。

一方で、長期的には、本人が自分で考える機会や、自分で選ぶ機会を減らしてしまい、結果として自律の機会を奪ってしまう可能性もあります。

こうした視点を整理しながら振り返ることで、親にとっても、自分の関わり方を責めるのではなく、少し距離を取って見つめ直す時間になっていたように感じます。

支援者にとっても、自身の支援を振り返る学びの場になりました

今回の内容は、ご家族だけでなく、見学に来られた支援者にとっても学びの多いものでした。

家族会で扱った内容を、自身の支援に置き換えて考えてもらうことで、支援者側にも多くの気づきが生まれていました。

たとえば、「解決策をすぐに提示することは、支援者自身の満足感にはつながるが、本人の試行錯誤機会を奪いかねない」といった意見も挙がりました。

これは家族支援にも本人支援にも共通する視点であり、支援する側が“よかれと思って行うこと”が、必ずしも長期的な支えになるとは限らないことを改めて考える機会になりました。

ニエンテでは、家族会を家族だけの学びの場にとどめず、支援者にとっても支援のあり方を見直す場として機能させていきたいと考えています。

家族の経験談だからこそ、深く届く言葉がありました

今回特に印象的だったのは、支援者が伝えると「指摘」や「正論」として受け取られやすい内容でも、同じ立場の家族の経験として語られることで、深い共感につながった点です。

たとえば、「親自身も人生を楽しんだ方がいい」という言葉があります。これはひきこもり支援や家族支援の場でもよく語られる考え方です。しかし、実際に悩みの中にいるご家族にとっては、支援者からそのまま伝えられると、苦しい指摘のように響いてしまうことがあります。

一方で、今回は実際にそれを少しずつ実践しているご家族の言葉として語られたことで、参加者が深くうなずく場面が見られました。

親自身が自分の生活や楽しみを持つことの大切さは、頭では理解できても、現実には不安や心配が強く、なかなか実行できないことが少なくありません。だからこそ、同じ家族の経験談が、理屈ではなく実感を伴った言葉として届いたことに大きな意味がありました。

オープンダイアログを通して、対話の中から気づきが生まれました

今回も家族会では、実際の事例を扱いながら、オープンダイアログの手法を取り入れて対話を行いました。

一人の話をみんなで丁寧に聞き、その内容を受けて、他の参加者や支援者が感じたことや経験を言葉にしていくことで、話している本人だけでなく、その場にいる全員にとって学びや気づきが生まれていました。

福岡・春日市で継続して家族会を行う中で、こうした対話の積み重ねが、ご家族にとって安心して話せる場づくりにつながっていると感じています。

ひきこもり当事者の居場所の様子

少人数の居場所だからこそ、深い対話ができました

今回の居場所は、女子会1名、男子会1名の参加でした。

人数だけを見ると少ない回でしたが、その分、一人ひとりとじっくり向き合うことができ、非常に深い対話の時間となりました。

居場所は、ただ安心して過ごすための場であるだけでなく、その人自身の気持ちや支援ニーズが少しずつ見えてくる場でもあります。少人数だったからこそ、その役割がよりはっきり感じられました。

女子会では、居場所の次のステップに向けたニーズを聞くことができました

女子会では、「居場所の次のステップ」について話を深めることができました。

今後どのようなことに関心があるのか、どのような支援や関わりがあれば次につながりやすいのかを、丁寧に聞いていくことができました。

安心できる居場所があるからこそ、その先のことも少しずつ言葉にできるようになることを改めて感じました。

男子会では、就労について具体的な話をすることができました

男子会では、就労についてより具体的な話をすることができました。

本人の状況や考えを聞きながら、どのような支援が合いそうか、どのような形なら無理なく次につながるかを考える時間になりました。

今回の居場所では、少人数だったからこそ、本人の支援ニーズに応じたオーダーメイド型の支援につながる手ごたえを感じました。

少人数の場には、深い対話と集合学習の力があると感じました

今回の活動を通して改めて感じたのは、少人数であっても、そこに深い対話と集合学習が生まれるということです。

参加人数や支援数は実績となる数値ですが、人数が多いことだけが価値ではなく、一人ひとりの話を丁寧に聞けること、そして一人の語りが他の参加者の学びにもつながることは、Nienteの家族会や居場所の大きな強みだと感じています。

ひきこもり支援では、すぐに答えが出るわけではないからこそ、安心して話せる場と、経験を通して学び合える場が大切です。今後も福岡・春日市近郊で、こうした家族会と居場所を継続していきます。

まとめ

4月の家族会と居場所も、少人数だからこそ、一人ひとりを丁寧に扱える時間となりました。

家族会では、家族心理教室とオープンダイアログを通して、家族同士の経験の共有が深い共感を生みました。居場所では、本人の支援ニーズを具体的に聞くことができ、今後の支援につながる手ごたえを得ることができました。

どちらの場でも、一人の語りがその人だけのものにとどまらず、他の参加者の気づきや学びにもつながっていたことが印象的でした。

今後もひきこもり家族会、居場所、家族支援の活動を継続し、必要としている方に届くよう発信を続けていきます。

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