第3回「訳があって外に出れない人の居場所」の活動報告

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訳があって外に出れない人の居場所(ひきこもり当事者会)は第3回目を迎えました。

活動を通して得られた、参加者やそのご家族からの貴重なフィードバックを元に活動の方針を新たに考えています。最近の学びから得た具体的な課題とその対策についてお伝えします。

活動内容と結果

活動内容
  • 淹れたてコーヒーでおもてなし
  • 会のルール説明
  • 自己紹介
  • テーマトーク
  • 次回の予告

活動内容は前回と同じです。自己紹介だけ少し改善を加えました。漠然と「自己紹介をしてください」と言われても、参加者が困惑するような気がしていました。話しやすいように自己紹介カードを作成し、参加者が話しやすい環境を心がけました。

結果
  • 参加者の半数が前回の参加者
  • テーマトークは「家族関係」など深い話になる
  • アンケート結果から満足度の高さが伺えた

今回、最も印象に残ったのが「家族関係」の話題でした。ひきこもりの家族関係では珍しく「親兄弟や親戚との関係が良好」という発言がありました。この発言してくれた参加者は、思考や言動に前向きさが見られました。家の中に安心できる環境があることで自己肯定感が醸成され、それが前向きな活動に繋がっていることを示す貴重な体験談の共有となりました。

この発見は、今後のNienteの活動において大きな刺激となっています。

良かった点

  1. 安心して過ごせる場所の提供
    当事者会は安心感を重視した設計を心がけました。その結果、ひきこもりの方々が自己肯定感を高める場として機能していると感じています。
  2. 高いリピート率
    参加人数は少ないですが、リピート率は50%を超えています。定期的に参加者が戻ってくることは、会が価値あるものとして認識されている証として捉えることができます。
  3. 良好なフィードバック
    アンケートによる評価が高く、参加者は自分の話ができる場として当事者会を有意義に感じている様子がわかりました。
  4. SNSを活用した告知
    告知方法の変更は成功といえるでしょう。特に、ひきこもり当事者のライフスタイルや心理に配慮した夜間の情報発信は効果的だったと考えられます。

課題点

  1. 良好な親子関係の再現性
    良好な親子関係がひきこもりの回復にポジティブな影響を持つことがわかったので、この関係性をどう再現するか、あるいは他の参加者と共有する方法を模索する必要があると感じました。
  2. 告知方法の継続的な最適化
    紙のチラシからSNSへの切り替えが成功していますが、今後もターゲット層の変化やテクノロジーの進化に合わせて告知方法を見直す必要があります。
  3. 新しい参加者の獲得
    現状のリピート率が高いのは良いことですが、新しい参加者を増やす戦略も考えることが重要です。新しい参加者が少ないことは、ひきこもり当事者に適切に情報が届いていないことを意味します。
  4. 活動への意欲への対応
    参加者の中には、当初の予想以上に活動への意欲が高い人も多く、そのニーズに応える場を増やす必要があると感じました。活動意欲の高い人と、まだ活動が難しい人とのバランスを取ることが課題となっています。

課題に対する対策

  • 親向けのワークショップの開催
    このワークショップは親子関係の向上を目指します。過去に自分が体験し、親のニーズと一致すると感じた教材を使用し、専門家でない者同士の「学び合う場」を提供することで、家族それぞれが主体的に関係の改善に取り組むことを目的としています。
  • 効果測定の実施
    さまざまな告知方法にチャレンジしながら、データサイエンスの手法を取り入れて効果測定を行います。これにより、ひきこもり当事者の方へ適切に情報が届くことを目指します。目標はひきこもり当事者に直接情報が届き、自分自身で申し込みができる動線を確保することです。
  • 「癒し・共感の場」と「活動・チャレンジの場」の区別
    参加者のニーズの多様性に応えるため、2つの異なる場を提供します。安心できる場で生きる気力を取り戻し、気力が回復した後は適切な負荷を伴ったチャレンジができる居場所を用意します。この2つの居場所を通して、参加者それぞれが自分に合ったステップを踏むことを目指します。

まとめ

訳があって外に出れない人の居場所(ひきこもり当事者会)は、就労を目的とした活動ではありません。誰かが用意した支援に乗っかるのではなく『ひきこもり当事者自身の手で幸せに生きる』方法を目指します。

今のところ、参加者にとって有益な場として機能しておりますが、さらなる向上のための取り組みを進めています。

今後は、親子の絆を深めるワークショップの開催や、参加者ニーズに応じた2つの居場所の開催、そしてバーチャル居場所の導入を通じて、多くの方々と一緒に前に進んでまいります。皆様の引き続きのご支援とご参加をお待ちしております。

お知らせ

Nienteが発足して4ヶ月が経ちました。これまでの活動報告会を開催いたします。

「訳があって外に出れない人の居場所」は、毎月第4木曜日に開催しています。