「ひきこもり当事者のクリスマスイベント」を開催しました

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民間支援団体の連携による特別なクリスマス会

Nienteは、若者の就労支援を手掛ける「八おき塾」の場所をお借りして毎月「料理部」という活動を行っています。この記事では、11月25日に開催した「ひきこもりクリスマス会」の様子を紹介します。

支援関係者同士の連携により実現したこの会では、ひきこもりの方々が料理を作り、共に食事を楽しみました。この集まりは、ポジティブな話題で盛り上がり、参加者に新しい発見と自己理解の深化をもたらしました。どのように有意義な時間を過ごしたのか、詳細をお伝えします。

八おき塾(福岡わかもの就労支援プロジェクト)
毎月、料理場付きのお部屋を無償提供していただいています。なんと調味料なども自由に使用させてもらっています。

結論

「ひきこもりクリスマス会」の開催は、ひきこもりの当事者が季節のイベントに参加しにくいという私自身の体験から生まれました。私は、ひきこもりの時期にはクリスマスやお正月といったイベントから距離を置いており、しばしば孤独感を感じていました。そうした背景から、ひきこもり当事者たちが楽しいクリスマスを過ごせるようこの会を企画しました。

会から得たものは計り知れません。主催者を含め、参加者全員が時間を忘れるほど楽しい時間を過ごしました。月に一度のイベントで見せる参加者たちの成長は、お互いに大きな刺激を与えました。参加者からの前向きな言葉を聞きながら、「ひきこもり当事者は人生を諦めていない」という確信を得ました。このイベントを通じて、今後の新たな活動の方向性が明確に見えてきました。

このクリスマス会は、ひきこもりの当事者たちにとって、季節のイベントを楽しむ機会を提供するだけでなく、自己成長を実感し、社会とのつながりを強めるための重要なステップとなりました。

共同作業の楽しさ

この「ひきこもりクリスマス会」では、料理を通じた学びと共有の楽しさを感じることができました。料理が趣味の私は、「ゆで卵の簡単な剥き方」や「サクサクに揚がるフライドチキンの作り方」など、役立つコツを参加者に伝えました。これらの技術に、参加者たちは興味深く耳を傾け、積極的に学び取ってくれていました。

心温まるエピソードとして、前回の会で学んだチキンカツを自宅で試した参加者の話が印象的でした。彼の話に私は大きな喜びを感じました。また、前回の参加者から教わったガパオライスを私も自宅で作り、今では我が家の定番メニューとなっています。

このように、料理の知識や技術を共有することは、単なる食事作りを超えた意味を持ちました。互いに教え合い、刺激を受け合うことで、参加者たちは新しい自己発見を経験し、料理の楽しさと人とのつながりの重要性を再確認しました。このクリスマス会での共同作業は、ひきこもりの当事者にとって、学びと成長の貴重な機会となりました。

参加者の助言から学ぶ

「ひきこもりクリスマス会」で活発に交わされたのは、仕事に関する多彩な話題でした。

参加者にはWEBライターとして活動を始めた人や清掃の仕事に就いた人など、様々な背景を持つ人々がおり、彼らの仕事に対する情熱や日々の経験が他の参加者にとって大きな刺激となりました。

この交流は、ひきこもり当事者たちに自身のキャリアを前向きに考える重要な契機となっています。参加者同士がそれぞれの成功体験や挑戦について話し合うことで、個々の可能性を再認識する機会が生まれました。

加えて、就労経験者からの助言も非常に貴重でした。とある就労経験のある参加者は「職場で無理に友人を作るよりも、仕事に集中することの大切さ」を強調し、このアプローチが職場での信頼構築と健全な人間関係形成の基礎となると述べました。私自身もこの考え方に深く共感し、参加者たちも熱心に話を聞き、仕事に対する集中が専門分野での能力向上と職場での信頼獲得につながることを学びました。

「料理部」は発足時は料理を通した楽しい時間を目的としていました。今では、ひきこもり当事者たちにとって、自分にできる仕事を考える機会や人間関係の構築に関して新たな視点を得る場となっています。

今後の展望

「ひきこもりクリスマス会」での参加者との対話から新たなアイデアが生まれました。今後は、キャンプ、登山、ウォーキングなど、自然の中で過ごす楽しい活動も視野に入れて計画しています。これは参加者が語った「湯布院の朝霧の中の絶景」に深く共感し、豊かな自然体験を提供することで、参加者が心身ともにリラックスできる機会を創出したいと考えています。

また「働きたい」という参加者の声に応え、彼らの興味や強みを活かせるような能力開発の機会にも注力したいと考えています。私は就労支援の専門家ではないので、働いている当事者としての経験を生かしたいと考えています。

具体的には既存の就労支援プログラムとは異なる方法で、「自分の強みは何か?」「どのように生きていきたいか?」を探究するワークショップを開催し、参加者の自己理解を深め、将来のキャリアプランについて考える手助けをしたいと思います。

課題とまとめ

「ひきこもりクリスマス会」は大いに成功しましたが、その楽しさのあまり、私自身が参加者の声に十分に耳を傾けられなかったことは反省点です。会の雰囲気に没頭しすぎて、参加者一人ひとりの意見をくみ取る機会を見逃してしまったと感じています。今後は、参加者の声にもっと集中し、彼らのニーズと期待に応えられるよう努めます。

一方、今回の活動で特筆すべきは、参加者のニーズに沿った活動方針を確立できたことです。自然体験や能力開発に関する参加者の興味を反映した企画を考え出すことができました。

これは、ひきこもり当事者たちにとって社会とのつながりを築き、自己実現へと進むための重要な一歩になる気がしています。今後も、彼らの声に耳を傾けながら、社会参加への自信を高める支援を続けます。

そして、この素晴らしい場を作り上げることができたのは、多くの支援関係者との協働のおかげです。特に、居場所活動の場を提供してくれている八おき塾をはじめ、福岡県の支援関係者の方々との連携は、今後もさらに深めていきたいと考えています。